前回は皮膚の伸展性が非常に悪い足の甲の症例のご説明をしましたが、
今回は手指の血行に関わる手首の刺青の症例についてご説明します。

手首の刺青に関しては、皮膚の伸展性は悪くありませんが（良くもないですけど）、
手指への血行を考慮して行わなければならないので、やはり面倒な部位です。

以前にもこのブログで解説したはずですが、手首の刺青除去の場合、手指への血行は
手背側よりも手掌側の方が悪くなりやすく、横軸切開よりも縦軸切開の方が悪く
なりやすいです。つまり橈骨動脈（脈をとる時に関係する動脈です）の血行を
考慮しなければなりません。

今回の症例は手掌側でしかも橈骨動脈寄り（親指側寄り）なのですが、幸い
横軸切開でも可能な絵柄の刺青だったので、何とか取り除くことが出来ました。

上の写真は右手首の刺青除去の１回目の術前と術後１週間目です。
この大きさですと、さすがに１回の手術では取り切れません。
横軸切開ではありますが、手術中、ドックンドックンと橈骨動脈の拍動が伝わって
くる位置なので、時々指先の爪の色を確認しながら慎重に行いました。

上の写真は右手首の刺青除去２回目の術前と術後１週間目です。
同じく手指への血行に十分気を付けながら慎重に手術を行いました。

同じ前腕でも手首付近の刺青除去は結構気を使います。